日本調理科学会誌
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調理における鰹だしの抗酸化効果 第二報
~畜肉の加熱調理及び鰯の冷蔵・冷凍保存について~
山田 潤稲森 美奈子梨本 亜希松田 秀喜
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2010 年 43 巻 2 号 p. 106-112

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抄録
本研究では,畜肉類の加熱調理時における鰹だしの抗酸化効果を検証した。さらに,鰹だしの加工適性を確認するため,マイワシのつみれにおいて,冷凍,冷蔵保存時の経時的な酸化抑制効果を検討した。
鶏つくね・豚団子・牛肉ハンバーグの官能評価から,鰹だしを添加した試料は肉臭さ(油臭さ)の減少を確認した。さらに,TBA価は3種類の調理品において,鰹だしを使用したものの方が対照よりも低値を示した。また,鶏肉の特徴的で衝撃的な臭気物質であるヘキサナールの抑制もGC-MS分析により認められた。以上の結果から畜肉に対しても鰹だしが有効な酸化抑制効果を有していることが示された。また,冷凍,冷蔵保存した鰯つみれの経時的なPOVは,鰹だしを使用した方が低い値で推移した。このことから,鰹だしの酸化抑制効果は調理後だけでなく保存中においても経時的に持続し,調理品の酸化を抑制することが示された。
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© 2010 一般社団法人日本調理科学会
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