日本調理科学会誌
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コーンスターチゲルの糊化・老化に及ぼす微結晶セルロースの影響
平島 円高橋 亮廣江 美佳西成 勝好
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2010 年 43 巻 3 号 p. 168-175

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抄録
澱粉の糊化および老化に及ぼす微結晶セルロース(MCC)の影響について,示差走査熱量測定,ゲルの一軸圧縮試験および動的粘弾性測定により検討した。澱粉とMCCの総濃度を15wt%に固定し,MCCを0~3wt%添加した。MCC添加濃度が高くなるにつれて澱粉ゲルの破断応力は小さくなった。また,5℃で14日間保存すると,MCCを添加した澱粉ゲルの老化率はMCC無添加の澱粉ゲルと比べて小さかった。これらの結果は澱粉濃度の減少によるものとわかった。すなわち,MCCは澱粉と直接相互作用することはなく,糊化と老化に影響を与えなかった。しかし,初期弾性率や貯蔵ヤング率の値はMCCを添加することにより大きくなり,微小変形下ではゲルは強い構造を持つようになるとわかった。これはセルロースの剛直な構造が影響していると考えられた。また,MCCを添加したゲルは,弾性率の値が温度に依存せず,熱に対する安定性のあることがわかった。
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© 2010 一般社団法人日本調理科学会
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