日本調理科学会誌
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ソバ蒸しパンの性状および抗酸化能に及ぼすルチン含量とグルテン添加量の影響
高澤 奈々世粟津原 理恵大川 祐輔原田 和樹長尾 慶子
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2011 年 44 巻 1 号 p. 55-63

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抄録
ソバは酸化防止効果などの生理作用をもつルチンを多く含むことから,健康食品としての期待が高い。本研究ではソバ食品加工時におけるソバルチンと小麦グルテンの相互作用がソバ蒸しパンに及ぼす影響を解明し,その結果から物理的特性が良好で機能性の高いソバ食品の膨化調理条件を考察した。
普通およびダッタンソバ粉に活性グルテンを0~10 wt%混合したバッターを調製し,これを15分間蒸した各種ソバ蒸しパンの物性を測定した。蒸しパンのテクスチャー特性のうち,かたさの項目でダッタンソバ試料の値が高くなり,凝集性では値が低くなった。また,蒸しパンの応力-ひずみ曲線の微分解析よりダッタンソバ試料は噛み込んだ時に硬く脆い食感となる傾向を示した。さらに体積の測定を行い,すだちを観察した結果,ダッタンソバ試料は膨化体積が小さく,すだちは不均一できめが粗かった。またソバの機能性の1つとして抗酸化能についても比較し,グルテン添加により各種ソバ蒸しパンの抗酸化能が向上することが明らかとなった。
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© 2011 一般社団法人日本調理科学会
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