抄録
冷凍または解凍シロサケ(Oncorhynchus keta)の切身を用いて,その調理性および食味に及ぼす影響を検討した。試料は塩ザケ,食塩無添加のサケの両方の冷凍切り身を用いた。塩ザケ,食塩無添加のサケのいずれにおいても冷凍切り身は解凍切り身より長い加熱時間(p<0.05)を要した。解凍塩ザケは冷凍塩ザケよりも調理歩留まりが高く(p<0.01),保水性(p<0.01)も高かった。官能評価結果より,解凍塩ザケの焼き物の食味は冷凍塩ザケより好まれた。塩ザケおよび食塩無添加のサケいずれにおいても,加熱開始が冷凍状態の加熱切り身の表面には,熱凝固タンパク質より成る白い凝固物が形成された。冷凍で食塩無添加の切り身は解凍して食塩添加すると,凝固物は減少した。食塩無添加のサケを解凍して食塩添加することで食味は向上した。