日本調理科学会誌
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酒米品種山田錦の炊飯特性
水間 智哉
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キーワード: 酒米, 心白米, 飯米, 食味, 食感
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2013 年 46 巻 3 号 p. 213-220

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抄録

 酒米の炊飯特性について,代表的な酒米品種の山田錦と食用米品種のコシヒカリを比較検討することによって,以下のことを明らかにした。(1)酒米に特異的に一定の割合で混在する心白米(心白構造を持つ米粒)は,通常形態の無白米(心白構造を持たない米粒)と吸水速度が異なるため,炊きムラが生じやすい。これを防止するには十分な浸漬時間が必要であると考えられた。(2)山田錦はコシヒカリに比較して,少ない白米で多くの炊飯米ができ,「釜増え」が大きかった。官能評価結果より,山田錦は,コシヒカリと同程度の良食味性を有することが明らかとなった。(3)山田錦の炊飯米はコシヒカリとは異なる新しい物性特性(硬くてこしが強いが,粘性は低い)を持つことがわかった。今後は,食感の違いをいかした調理面での応用も期待される。(4)これらの特性には,山田錦の高いアミロース含量や酒米固有の心白構造及び大粒性が関与していると推察された。

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© 2013 一般社団法人日本調理科学会
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