日本調理科学会誌
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黒米の炊飯による理化学的変化
綾部 園子和田 尚子大石 恭子香西 みどり
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2014 年 47 巻 2 号 p. 76-83

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抄録
ジャポニカ種のうるち米(おくのむらさき)ともち米(朝紫),およびインディカ種のもち米(Nursery sticky rice)の3種の黒米玄米を用いて炊飯による物理的化学的変化についてうるち米のコシヒカリ玄米を対照として実験した。
黒米玄米の吸水速度は精白米より遅いが,白米玄米よりは早く,もち米のNursery sticky riceと朝紫はこの傾向が著しかった。朝紫は糊化開始温度が低く,糊化エネルギーが小さく,糊化しやすい米であった。黒米の米飯の遊離糖量はスクロースが最も多く,洗米による損失が少なかった。また,グルコースは炊飯により有意に増加した。また,Nursery sticky rice種皮と果皮に含まれるポリフェノールは抗酸化性があることが知られているが,その量は洗米で減少するが炊飯中も高値を保ち,黒米飯の抗酸化活性が期待できた。黒米玄米飯の物性はもち種でやわらかく,付着性があった。これらの結果から,100%の飯として利用可能するのであれば,朝紫が最も適していることが示唆された。
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© 2014 一般社団法人日本調理科学会
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