日本調理科学会誌
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石川県内における金沢縁起菓子の地域分布
辻 昌美真部 真里子
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2014 年 47 巻 3 号 p. 171-182

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抄録
5つの金沢市の縁起菓子(五色生菓子,氷室万頭,福梅,金花糖,ささぎ餅)が石川県内でどのように広がっているかについて,石川県の和菓子店計34店に調査を実施した。
その結果,これら5種類の縁起菓子のうち,福梅のみ石川県全域で製造販売されており,氷室万頭は奥能登の穴水以南の地域,金花糖は加賀地方のみ,五色生菓子とささぎ餅は加賀市以外の加賀地方と能登地方の一部で認められた。能登地方は地理的に田畑が少なく米の生産量が少ないこと,加賀市は江戸時代の政治・経済状況が厳しかったことから金沢の和菓子文化が取り入れ難かったと考えられる。また,縁起菓子は,一旦新たな地域に伝えられても,その菓子の謂れや行事がその地域に受け入れられないと,定着できない傾向にあった。縁起菓子は行事と密接に関わっているため,文化的背景の後押し無しにはその縁起菓子の存在が維持できないと考えられた。
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© 2014 一般社団法人日本調理科学会
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