日本調理科学会誌
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ショウガ中の6-ジンゲロールの加熱調理による変化
吉田 真美平林 佐央理
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2015 年 48 巻 6 号 p. 398-404

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抄録

 ショウガ(Zingiber officinale Roscoe)の辛味主成分である6-ジンゲロールは加熱・乾燥により脱水が起こり,高率で6-ショウガオールに変化することが知られている。しかし,通常の食生活でなされる加熱調理条件下での,6-ジンゲロールの変化に関する研究はごく少ない。そこで,一般的な5種の調理方法(茹で,蒸し,炒り,焼き,電子レンジ)を想定し,ショウガ中の6-ジンゲロールの6-ショウガオールへの変化を経時的にHPLCで測定した。さらにDPPH法により抗酸化能の変化を測定し,また辛味の強度を官能評価により比較した。
 生ショウガ中の6-ジンゲロールと6-ショウガオールの割合は98:2であった。60分間の茹で・蒸し加熱により,6-ショウガオールはそれぞれ3倍以上有意に増加したが,大半の6-ジンゲロールは残存していた(93:7茹で),(92:8蒸し)。
 辛味および抗酸化能に関しては,加熱前後に統計的な有意差はなく,これらの特性は加熱後も維持されていた。

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