日本調理科学会誌
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焼成調理における牛肉官能特性に及ぼす脂肪酸組成の影響
露木 理紗子鈴木 啓一飯田 文子
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2016 年 49 巻 1 号 p. 19-25

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抄録

 本研究は焼成調理における牛肉官能特性に及ぼす脂肪酸組成の影響を検討するため,異なる脂肪酸組成の牛肉を用いて官能評価,破断測定および調理損失率の分析を行った。
 官能評価の結果,高一価不飽和脂肪酸(MUFA)試料は「やわらかさ」「総合的食感」が低く評価された。一方,「風味の強さ」は高く評価された。その原因は高い破断特性値および調理損失であった。高MUFA試料は脂肪融点が低下し,焼成調理において脂肪および肉汁の流出が増大し,テクスチャー評価が低下することが示唆された。
 以上より,焼成調理において過度なMUFA割合の増加はテクスチャーに悪影響を与え,食味特性の高い牛肉には各脂肪酸の適当な割合があることが示唆された。本研究において,官能特性が高い牛肉のMUFA割合は56~59%であった。

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© 2016 一般社団法人日本調理科学会
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