日本調理科学会誌
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加熱調理器がチキンスープの食味と呈味成分に及ぼす影響
三成 由美楊 萍木村 秀樹嶋川 成浩黒田 恵理子徳井 教孝
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2016 年 49 巻 2 号 p. 154-160

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抄録
 九州の鶏の年間処理重量は約90万tで,鶏がらは約17%を占めているが,食材として使用は少なく,未利用食品になっている。鶏がらは有効利用するために,チキンスープに着目し,加熱方法はガス加熱,電磁誘導加熱(IH加熱)を用いて同一熱量で調製し,チキンスープの食味と呈味成分について検討した。方法は鶏がら1 kg,水2 L,食塩3 gを用い,加熱時間は90分とした。アミノ酸,核酸の分析は全自動アミノ酸分析機と高速液体クロマトグラフィーを用いた。嗜好調査は20代女性15名をパネルとし,チキンスープを5点評点法で評価し,解析はノンパラメトリックのウィルコクソンの符号順位和検定を用いた。その結果チキンスープの遊離アミノ酸の含有量はアスパラギン酸がIH加熱に比べ,ガス加熱が有意に高い数値を示したが,総アミノ酸含有量は,ガス加熱とIH加熱では有意差は認められなかった。嗜好型官能評価の項目では透明度のみ,ガス加熱が有意に高い結果を得た。機器測定においても,透明度は同じような結果だった。98℃における水の対流速度は,IH加熱に比べ,ガス加熱が有意に高いため,透明度に差が認められたと考えられる。
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© 2016 一般社団法人日本調理科学会
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