抄録
4種類(シイタケ,ヒメマツタケ,アンニンコウ,ササクレヒトヨタケ)の乾燥キノコを蒸留水で抽出し,異なる加熱条件で煮沸した後,抗酸化活性と褐色度を測定した。抗酸化活性は 2,2-diphenyl-1-picrylhydrazyl (DPPH) 法で,褐色度は540 nmの吸光度で評価した。キノコ抽出液試料の抗酸化活性と褐色度は加熱条件により異なる値を示した。
抽出液のpHを4.0,5.0,6.0に変えて抽出条件の変化が抗酸化活性と褐色度に与える影響を調べた。ヒメマツタケをpH 4.0の緩衝液中で加熱した抽出液の抗酸化活性は,他のpH条件の抽出液より高い値を示した。キノコ抽出液試料の抗酸化活性は褐色度の値に比例して強くなった。官能検査の結果,蒸留水で抽出したヒメマツタケ抽出液で炊飯した桜飯と醤油で炊飯した桜飯との間に有意差はなかった。