抄録
我々は,野菜・果実飲料ににんじんピューレ(CP)を配合すると,飲料の力学特性が変わることを報告した。我々は,降伏応力が増大し,ずり流動化流動の特徴を示す飲料の摂取は蠕動運動を亢進させると考えた。大腸癌のリスクファクターのひとつと考えられる,便中の二次胆汁酸と一次胆汁酸の比(二次胆汁酸比)は高脂肪低食物繊維食摂取後に著しく上昇するという報告がある。そこでまずは,便秘の自覚症状のある成人男性において,高脂肪低食物繊維食摂取後の二次胆汁酸比の上昇がCP配合飲料摂取によって抑制できるかどうか検討を行った。その結果,我々は高脂肪低食物繊維食摂取後の便中二次胆汁酸比の上昇がCP配合飲料摂取によって抑制されることを示した。さらに,我々はCP配合飲料摂取によって成人男性の大腸通過時間が短縮することを示した。これらの知見は,CP配合飲料摂取が大腸通過時間を短縮することで大腸癌リスクファクターのひとつを低減することを示唆する。