日本調理科学会誌
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各種家禽卵オボアルブミンの消化性に及ぼす加熱処理の影響
梶野 涼子栗﨑 純一佐藤 香織三浦 理代山田 和彦
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2018 年 51 巻 5 号 p. 258-267

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抄録

 家禽卵5種のオボアルブミン(OVA)について,人工胃液(SGF)及び人工腸液(SIF)による消化性に及ぼす加熱処理の影響を鶏卵と比較した。
 SGFによる消化において,ニワトリOVAと同様に,アヒル,ウズラ,ホロホロチョウ及びシチメンチョウのOVAは65°C以下では相対的に消化抵抗性を示したが,70~80°Cでは消化性が向上し,90°C以上の温度では消化速度が低下した。一方,ダチョウOVAは,80°C以下の加熱処理では相対的に消化抵抗性を示したが,90°C以上の加熱処理では消化性が著しく高まった。
 SIFによる消化において,アヒル以外の家禽OVAは,未加熱ではニワトリOVAと同様に相対的に消化抵抗性を示したが,60°C以上の加熱処理によりニワトリOVAよりも消化性が高まった。アヒルOVAは加熱の有無に関わらず速やかに消化された。
 OVAは供試卵の主要なタンパク質であるため,栄養学的な有益性を享受するためには,アヒル,ウズラ,ホロホロチョウ及びシチメンチョウの卵は70~80°C,ダチョウ卵は90°C以上の調理条件が望ましいことが示された。

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