日本調理科学会誌
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51 巻, 5 号
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総説
報文
  • 梶野 涼子, 栗﨑 純一, 佐藤 香織, 三浦 理代, 山田 和彦
    2018 年51 巻5 号 p. 258-267
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/19
    ジャーナル フリー
     家禽卵5種のオボアルブミン(OVA)について,人工胃液(SGF)及び人工腸液(SIF)による消化性に及ぼす加熱処理の影響を鶏卵と比較した。
     SGFによる消化において,ニワトリOVAと同様に,アヒル,ウズラ,ホロホロチョウ及びシチメンチョウのOVAは65°C以下では相対的に消化抵抗性を示したが,70~80°Cでは消化性が向上し,90°C以上の温度では消化速度が低下した。一方,ダチョウOVAは,80°C以下の加熱処理では相対的に消化抵抗性を示したが,90°C以上の加熱処理では消化性が著しく高まった。
     SIFによる消化において,アヒル以外の家禽OVAは,未加熱ではニワトリOVAと同様に相対的に消化抵抗性を示したが,60°C以上の加熱処理によりニワトリOVAよりも消化性が高まった。アヒルOVAは加熱の有無に関わらず速やかに消化された。
     OVAは供試卵の主要なタンパク質であるため,栄養学的な有益性を享受するためには,アヒル,ウズラ,ホロホロチョウ及びシチメンチョウの卵は70~80°C,ダチョウ卵は90°C以上の調理条件が望ましいことが示された。
ノート
  • 小林 理恵, 石川 明希奈, 磯邊 瞳, 橋詰 奈々世, 柴 岳郎, 土田 幸一
    2018 年51 巻5 号 p. 268-275
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/19
    ジャーナル フリー
     本研究は,ソバ粉の新たな利用法としてシューの調製が可能か追究した。その第一報として,小麦粉シューでは粘性を低くし糊化度を高めることで膨化率が増すと報告されることから,ソバデンプンの糊化特性をふまえて,シュー生地の卵液添加量を調整し,α化処理したソバ粉を配合する効果を検討した。ソバ粉の糊化温度は小麦粉より高く糊化しにくかった。また,ソバ粉シュー生地は粘弾性が高いため,その調製時に卵液量を増加させると比較的比容積が高くなった。さらに糊化度を高めるために,ソバ粉をα化ソバ粉で10,30%及び100%代替すると,その配合量が多くなることで生地の降伏応力は増した。いずれのソバ粉シューにおいても卵液120 g添加シューの重量減少率が高く比容積が大きかったが,小麦粉シューに比べると有意に比容積が小さく膨化しにくかった。また,卵液を100 g添加した場合,α化ソバ粉を10%及び30%配合によりシューの空洞面積の有意な増大が認められた。
  • 岸田 恵津, 西窪 玲衣, 井奥 加奈
    2018 年51 巻5 号 p. 276-281
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/19
    ジャーナル フリー
     キャベツを外葉,中葉,内葉に分けて試料を調製し,100°C及び70°C蒸し調理における加熱温度の相違がアスコルビン酸(AA)量に及ぼす影響を検討した。
     AA含有量は部位によって異なり,外葉,中葉,内葉の順に多く含まれていた。蒸し鍋と電子レンジにより蒸し調理した結果,いずれの部位においても電子レンジ加熱でのAA残存量が最も多く,次いで100°C,70°Cであった。中葉について100°C蒸しと70°C蒸しにおけるAA量の経時変化を調べると,10分後のAA残存率は70°C蒸しで有意に低く,20分でも70°C蒸しの方が低い傾向にあった。蒸し時間を10分にして温度を変えると,AA残存率は100°Cで81.1%,70°Cで59.2%,50°Cで91.2%であり,70°C蒸しの減少量が最も多かった。電子レンジ加熱後に70°C蒸しを行うと,AA量の減少が抑制された。
資料
  • 藤原 佳史, 都倉 孝之, 亀岡 恵子
    2018 年51 巻5 号 p. 282-289
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/19
    ジャーナル フリー
     本研究では,かつおだしの摂取経験の違いがかつおだしを用いた減塩料理の嗜好性に与える影響を調べた。
     吸物では,パネルのかつおだしの摂取経験に関わらず,減塩した吸物の嗜好性がかつおだしの濃度を増加させることで向上した。一方,炊き込み飯では,かつおだしの摂取経験の多いパネルでは減塩した炊き込み飯の嗜好性がかつおだしを添加することで向上したが,かつおだしの摂取経験の少ないパネルでは向上しなかった。この差異は,かつおだし特有の味と香りに対する嗜好性の違いにより生じると考えられた。このことは,かつおだしの摂取経験を積み重ねてかつおだしの味と香りを好ましいと感じるようになれば,かつおだしを効かせることで様々な減塩料理の嗜好性が向上する可能性があることを示唆している。
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