日本調理科学会誌
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大学生の包丁技術に関する意識と行動に及ぼすビデオ視聴効果
手島 陽子小西 史子
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2019 年 52 巻 6 号 p. 395-404

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抄録

 大学生に包丁技術に関する模範ビデオを視聴させ,ビデオ視聴前後の包丁技術に関する意識と行動の変化を検討した。包丁操作に伴う注意項目は,1)構えに関する項目群(5項目),2)包丁に関する項目群(4項目),3)切断後の切断物に関する項目群(3項目)から成る12項目とした。

 ビデオ視聴は,包丁操作の注意項目に対する意識の向上に有効であった。また,繰り返して視聴すると,意識の定着に正の効果があることが示された。しかしながら,ビデオ視聴効果としての行動における習得はみられなかった。ただし,項目群別にみると,構えに関する項目群は,包丁に関する項目群と切断後の切断物に関する項目群より,向上しやすい,または優先的に向上する可能性が示唆された。

 また,意識と行動の関連には,2つの乖離の型があることがわかった。意識していても,行動が伴っていない「意識>行動型」の項目は多かった。しかし,意識していなくても,行動は概ね注意内容どおりという「意識<行動型」の項目は少なかった。

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© 2019 一般社団法人日本調理科学会
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