日本調理科学会誌
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打ち物「和三盆」の物理特性および食嗜好性に及ぼす副材料の影響
―ネキ水の水飴に着目して―
村上 陽子
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2021 年 54 巻 1 号 p. 24-32

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抄録

 打ち物は,干菓子の一つである。打ち物「和三盆」は,和三盆糖とネキ水(水飴を含む水)を材料として,これらを成形して作られる。打ち物の材料である水飴に着目すると,我が国には麦芽糖化飴がある。麦芽糖化飴は,穀物を麦芽で糖化して作られる。麦芽糖化飴は,高い香りと琥珀色を特徴とする伝統的な食品である。本研究では,打ち物の副材料である水飴に着目し検討した。麦芽糖化飴の種類が,打ち物「和三盆」の物理特性および食嗜好性に及ぼす影響について調べた。

 その結果,水飴の色彩構成は水飴の種類によって異なっていた。また,水飴を打ち物の材料(ネキ水)として用いた場合,水飴の色彩構成は,打ち物の色彩構成にも影響していた。麦芽糖化飴における原料の違いは,打ち物の硬さに影響を殆ど与えなかった。打ち物の食嗜好性は,ネキ水の材料として用いた水飴の香りや雑味に影響されていた。麦芽糖化飴を用いた方が,酵素糖化飴を用いた場合よりも打ち物「和三盆」の嗜好性は高かった。

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