本研究では,比較的低濃度の食塩が添加されるひき肉料理の食塩添加量減少の影響を明らかにすることを目的として,0.5~1.0%の食塩を添加した牛すね肉パティの破断特性,官能特性とレオロジー特性を検討した。走査電子顕微鏡観察では,食塩1.0%の牛肉パティはなめらかな構造であり,官能評価においても食塩0.5%よりも食塩1.0%の牛肉パティが好ましいテクスチャーと評価された。動的粘弾性測定では,食塩添加はG’,G’’の上昇開始温度を低下させた。一方,周波数依存性は30℃および40℃の低周波数域を除き,食塩添加の有無および添加量に関わらず,いずれの温度でも一致しており,溶出したミオシンが筋原線維の小片等と形成する牛肉パティの内部構造に加熱前後で大きな変化がないことが確認された。以上より,食塩添加の有無および添加量による牛肉パティの性状の差は,レオロジー特性から推察される内部構造においては極めて小さな違いの中で決定づけられると考えられた。