日本調理科学会誌
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クッキー副材料としての甘酒および抹茶の意義
堀 光代平野 可奈下山田 真秋山 美展鈴木 徹長野 宏子
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2022 年 55 巻 2 号 p. 97-104

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抄録

 機能性が知られている甘酒と抹茶を用いたクッキーを作製し,その特徴を検討した。女子短期大学生を対象としたクッキーの嗜好性の調査結果から,甘酒を用いたクッキーは外観において高い評価となった。香り,硬さ,甘みにおいて小麦粉クッキーより低い評価となったが,総合評価では各種クッキーに有意差が見られなかった。

 甘酒クッキーに含まれる糖の組成は,添加した甘酒由来の糖に大きく影響されることが明らかになった。DPPHラジカル消去能は,小麦粉クッキーに比べ,ウルチ米甘酒や黒米甘酒の添加によって有意な上昇がみられた。さらに,抹茶の添加がラジカル消去能の向上に効果的であることがわかった。

 甘酒クッキーに対する米アレルゲン特異的抗体による反応の結果,米の主要アレルゲンに対する反応はみられず,さらに加熱処理や麹菌により発酵過程において米アレルゲンの低減化がみられた。以上の結果により,甘酒の普及にクッキーへの応用は役立つと考えられた。

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