2022 年 55 巻 3 号 p. 149-154
本研究では,2次元動作解析ソフトウェアを用いて,ビデオカメラで撮影した包丁操作画像から上肢関節の角度を計測し,熟練度による上肢の動きの相違について検討した。その結果,熟練者は,肩関節伸展位,肘関節屈曲位から切り始め,肩関節を屈曲,肘関節を伸展させることによって,肩を支点に上腕を前方に動かし,手関節を大きく橈屈させることなく,前腕-手-包丁を前方斜め下方に向かって平行移動させ,切断していた。一方,非熟練者は熟練者に比べて,切断開始から切断終了にかけての肩関節屈曲の動きが小さく,肘関節の伸展または手関節の橈屈によって,前腕-手-包丁を下方向に動かし,押すように切断していた。切断開始から切断終了にかけての肩関節屈曲の動きが小さいほど,尺骨茎状突起の下方への動きが大きくなることから,肩関節屈曲の動きを意識することが,熟練者の操作を効率的に習得することに繋がると推察される。