2022 年 55 巻 5 号 p. 222-234
本研究は,真空調理による大豆調理の合理性とイソフラボンの保持における有用性を検討した。ゆで大豆と煮豆において,真空調理と鍋加熱による通常調理を比較した。
真空調理の低加水量の条件下において,大豆中のイソフラボン保持率は90%前後,ゆで汁または煮汁への移行は5%前後となり,ゆで汁への溶出が通常調理より少ないことが認められた。加水量を少なくした真空調理は大豆中のイソフラボン保持率の向上に有用な方法で,同時にゆで大豆中のアグリコンの増加には予備浸水の重要性が示唆された。また,真空調理では,予備浸漬なしでも真空の利用が加熱初期の低温時に吸水を促し,後の加熱時間の延長によって比較的均一に豆を軟化させることが可能であることが認められた。真空調理は,長時間加熱時間を要するが,作業の簡便性と大豆中のイソフラボン保持において有用な方法であることが判明した。