ムール貝(ムラサキイガイ)の味の特徴を明らかにするため,そのエキス成分をマガキ,ハマグリおよびアサリと比較した。コハク酸は,ムール貝に最も多く含まれた。Taste active valueとして1以上を示したエキス成分は,ムール貝ではグルタミン酸,イノシン酸,アデニル酸,コハク酸,マガキではグルタミン酸,アスパラギン酸,アラニン,プロリン,コハク酸,ハマグリではグルタミン酸,アラニン,アスパラギン酸,コハク酸,アサリではグルタミン酸,アスパラギン酸,グリシン,アラニン,イノシン酸,コハク酸であった。ムール貝のEquivalent umami concentrationは,他の貝類と有意差はなかった。ムール貝の呈味性には,アミノ酸とうま味ヌクレオチドとの相乗効果とコハク酸の寄与が示唆された。階層的クラスター分析の結果,4種の貝はそれぞれ異なるクラスターに属した。ムール貝とマガキおよびハマグリとアサリが2つのクラスターに分類された。