2022 年 55 巻 6 号 p. 290-294
本研究では,研究報告が少ないアンズの調理・加工特性として,酵素的褐変における品種間の違いを明らかにすることを目的とした。長野県産アンズ5品種「ハーコット」,「信州サワー」,「信陽」,「信山丸」,「信州大実」について,酵素的褐変に関する特性について検討を行った。
総ポリフェノール量は「信州サワー」が他の4品種より有意に低く,PPO活性は「信州サワー」と「信陽」の2品種が他の3品種と比べて有意に活性が低くかった。DPPHラジカル捕捉活性は,「信州サワー」で他の4品種より有意に低値を示した。褐変度は,「信州サワー」と「信州大実」の2品種間に有意な差が認められた。抗酸化活性と総ポリフェノール量が同様の傾向が見られたため,アンズにおいての主な抗酸化物質はポリフェノールである可能性が考えられる。