日本調理科学会誌
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55 巻, 6 号
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特別寄稿
総説
報文
  • 柴田(石渡) 奈緒美, 加藤 由利子, 大場 君枝
    原稿種別: 報文
    2022 年55 巻6 号 p. 273-280
    発行日: 2022/12/05
    公開日: 2022/12/12
    ジャーナル フリー

     本研究ではパン粉に代わる新たな加工食品(おから製パン粉)の開発を検討した。

     おから製パン粉はざるを用いておからを濾し,乾燥させることで作成できる。おから製パン粉は乾燥パン粉と比較し球状に近い形状であることがわかった。また乾燥工程におけるおから製パン粉の色彩値は乾燥温度ではなくおから製パン粉の含水率に依存することが明らかになった。

     おから製パン粉を用いた揚げ衣は,乾燥パン粉と比較して食物繊維が多く含まれていること,含油率が高いこと,靭性傾向を示す衣であること,色が明るく黄色みが強いこと,味を感じる衣であることが明らかになった。そして,揚げる前のおから製パン粉に含まれる水分量の違いは揚げ衣の重量減少率,含油率,破断応力,破断歪率と相関があることがわかった。

  • 石橋 ちなみ, 松本 茜, 渡壁 奈央, 齋藤 実梨, 池田 真帆, 重永 真志, 杉山 寿美
    原稿種別: 報文
    2022 年55 巻6 号 p. 281-289
    発行日: 2022/12/05
    公開日: 2022/12/12
    ジャーナル フリー

     本研究では,全卵,卵黄,卵白,レシチンを配合したパン生地のレオロジー特性と,パンの性状(柔らかさ,比容積,微細構造等)との関係を明らかにすることを目的とした。パン生地のレオロジー特性において,全卵配合生地,卵黄配合生地,レシチン配合生地のtan δは35℃以上で高い値を示していた。焼成後のパンの微細構造観察では,全卵配合パン,卵黄配合パン,レシチン配合パンにおいて,気泡膜の薄い大きな気泡が認められ,澱粉粒の周囲をグルテンネットワークが取り囲んでいる様子が観察された。以上より,パン生地への卵黄あるいはレシチンの配合は,加熱過程のパン生地を粘性的な性質が高いレオロジー特性とし,より広い温度域で膨張することで,生地の伸展性,ガス保持能,膨張性を高めると考えられた。これらによって,卵黄あるいはレシチンを配合したパンは,比容積が大きく,内相の柔らかい,好ましいテクスチャーとなることが示された。

ノート
  • 福永 祥子, 升井 洋至
    原稿種別: ノート
    2022 年55 巻6 号 p. 290-294
    発行日: 2022/12/05
    公開日: 2022/12/12
    ジャーナル フリー

     本研究では,研究報告が少ないアンズの調理・加工特性として,酵素的褐変における品種間の違いを明らかにすることを目的とした。長野県産アンズ5品種「ハーコット」,「信州サワー」,「信陽」,「信山丸」,「信州大実」について,酵素的褐変に関する特性について検討を行った。

     総ポリフェノール量は「信州サワー」が他の4品種より有意に低く,PPO活性は「信州サワー」と「信陽」の2品種が他の3品種と比べて有意に活性が低くかった。DPPHラジカル捕捉活性は,「信州サワー」で他の4品種より有意に低値を示した。褐変度は,「信州サワー」と「信州大実」の2品種間に有意な差が認められた。抗酸化活性と総ポリフェノール量が同様の傾向が見られたため,アンズにおいての主な抗酸化物質はポリフェノールである可能性が考えられる。

資料
  • 大久 長範, 中村 光太郎, 長 俊広, 毛利 哲
    原稿種別: 資料
    2022 年55 巻6 号 p. 295-298
    発行日: 2022/12/05
    公開日: 2022/12/12
    ジャーナル フリー

     発酵種を得るために,「稲庭うどん」の生地を5%または10%の食塩水培地で培養した。106/mlを超える耐塩性酵母が食塩水培養で検出された。しかし,乳酸菌の量は104/mlと少なく,従来の発酵種とは異なった。耐塩性酵母Hyphopichia burtoniiは,5%および10%の食塩水培地で優勢であった。この食塩水培養物をパン生地に加えると,生地の膨張が促進され,パンの比容積が増加した(約3cm3/g→約4cm3/g)。また調製したパンの硬度は対照よりも小さいことが分かった。耐塩性酵母が107 cfu/mlまで増加するという点で,5%生理食塩水培養は10%生理食塩水培養よりも優れていた。

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