本研究は,食パンへの油脂系のスプレッド素材の添加が,その後口腔内で形成される食塊の物性に及ぼす影響を明らかにすることを目的として実施した。異なる量のバター,マーガリン,2種のファットスプレッドを人工唾液とともに砕いたパンクラムと混合し,模擬食塊を調製してその食感を測定した。また,油と水を異なる比率で混合してエマルジョンにし,同様に模擬食塊を調製して評価した。その結果,油脂系のスプレッド材を添加することで,模擬食塊の硬さと付着性が低下し,この効果は添加量を増加するとともに大きくなった。また,バターやマーガリンと比較して油脂の比率の少ないファットスプレッドが硬さと付着性の低減により有効であった。キャノーラ油と水を混合したエマルジョンを評価した結果については,キャノーラ油を添加することにより,水のみの場合と比較して模擬食塊の硬さ,凝集性,付着性のいずれもがより低下した。