日本調理科学会誌
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カリンエキスゼリーの赤色着色におよぼす糖質系甘味料の影響および食味特性
阿部 雅子富澤 歩美長井 祐子高梨 美穂松岡 寛樹小澤 好夫綾部 園子
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キーワード: カリン, 赤色着色, 官能評価
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2024 年 57 巻 4 号 p. 208-217

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抄録

 カリンエキスゼリーは赤色に着色する特徴がある。そこで,カリン抽出液に9種の糖質系甘味料を添加したゼリーについて,色(L*,a*,b*値,可視吸収)を測定した。そのうち,上白糖,フルクトース,イソマルツロース,スクロースおよびフラクトオリゴ糖を添加したエキスゼリーは赤みを示すa*値が高く,500 nm付近に極大吸収を示した。a*値が高いゼリーは甘味料の分子構造にフルクトースを含むことが共通していた。加熱中の糖含有量を経時的に測定した結果,スクロースとフラクトオリゴ糖添加ゼリーではフルクトースの増加が確認された。官能評価では,フルクトースおよびスクロースを添加したエキスゼリーが,赤みと総合的評価が有意に高かった。カリンエキスゼリーの赤色着色は,甘味料としてフルクトースまたはフルクトースを含む糖との加熱により形成されることが示唆された。

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