日本調理科学会誌
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加熱および放射線照射による食物アレルゲンのELISA検出レベルの変化
南 育子
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2024 年 57 巻 5 号 p. 304-311

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抄録

 食物アレルゲンとなるタンパク質は加熱等の処理により変性し抗原性が変化する場合がある。本研究では卵白および牛乳を加熱処理あるいは放射線照射(ガンマ線または電子線,9, 30 kGy)し,タンパク質のenzyme-linked immunosorbent assay (ELISA) 検出レベルの変化を調べた。Tris-HCl bufferまたは界面活性剤と還元剤を含むdenaturing bufferによりタンパク質を抽出しELISAにより卵白のオボアルブミン,牛乳のカゼインおよびβ-ラクトグロブリンを測定した。加熱した卵白のTris-HCl buffer抽出サンプルのオボアルブミン検出レベルはコントロールの10-2~10-3程度に減少し,放射線照射でも検出レベルの低下がみられた。牛乳のカゼインは高線量照射において検出レベルが低下した。牛乳のβ-ラクトグロブリンは放射線照射では加熱処理ほどの低下は見られなかった。

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© 2024 一般社団法人日本調理科学会
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