2025 年 58 巻 4 号 p. 198-207
食産業の多様化から,野菜の加工製造が盛んになっている。加工の過程で行う加熱処理は,野菜の栄養成分を変化させ,損失することが知られている。本研究では,スチームコンベクションオーブン(CSO)を用いて,にんじん3品種(愛紅・アロマレッド・ライム)を120℃・140℃・160℃の3温度帯(スチーム100%・20分)で加熱し,糖(フルクトース・グルコース・スクロース),及びカロテン(α及びβ)の損失について検証した。その結果,糖では,ライムが加熱の影響を受けにくく,損失はほとんどなかった。α及びβカロテンは,加熱温度が上がるにつれ,残存量は多い傾向にあったが,推定値より損失が見られた品種もあり,加熱による影響が示唆された。栄養成分の保持を可能にする加工方法としてCSOの有用性を明らかにできた。