本研究の目的は,長野県における「やしょうま」の食文化を記録保存し伝承するための資料を得ることである。「やしょうま」について文献調査と関係者への聞き取り調査を行い,中野市で行われた「やしょうま」の料理講座のフィールド調査を行った。文献調査の結果から,江戸時代には,米粉の蒸した団子を「やせうま」と呼んだことと,長野県の寺で涅槃会に参拝者に新粉の団子を与えることを「やせうま」と呼んだことが明らかとなった。「やしょうま」の模様柄は昭和10(1935)年頃,松本の寺院で考案され,その後,全域に広がった。「やしょうま」の伝承講座は大変人気で,SNSを活用した情報発信とアーカイブ活動が行われていた。
卵白と小麦粉もしくは片栗粉を混捏及び焼成することでベイクドエッグ(BE)を作製し,そこに含まれる卵白タンパク質の溶解性を解析することを目的とした。卵白の割合を変えて作製したベイクドエッグから溶解性ごとにタンパク質を抽出し,電気泳動,ローリー法,阻害ELISAによって,卵白タンパク質の溶解性を解析した。電気泳動の結果,BE中のほとんどのタンパク質が2-ME溶液画分で検出された。PBS画分のタンパク質量は,小麦粉BEでは0.2 mg/mL以下であった。作製時の卵白の割合が最も少ない片栗粉BEでは,0.94 mg/mLに達したが,BE作製時の卵白量が多くなるほど低下した。PBS画分のOVA量も同様で,小麦粉BEよりも片栗粉BEで多く,BE作製時の卵白量が多くなるほどOVA量は低下した。片栗粉BEの作製時に上白糖を添加した結果,添加量が多くなるほどPBS画分のタンパク質量は低下した。以上の結果より,卵白と混捏する食材によって卵白タンパク質の溶解性が異なることが示唆された。
食産業の多様化から,野菜の加工製造が盛んになっている。加工の過程で行う加熱処理は,野菜の栄養成分を変化させ,損失することが知られている。本研究では,スチームコンベクションオーブン(CSO)を用いて,にんじん3品種(愛紅・アロマレッド・ライム)を120℃・140℃・160℃の3温度帯(スチーム100%・20分)で加熱し,糖(フルクトース・グルコース・スクロース),及びカロテン(α及びβ)の損失について検証した。その結果,糖では,ライムが加熱の影響を受けにくく,損失はほとんどなかった。α及びβカロテンは,加熱温度が上がるにつれ,残存量は多い傾向にあったが,推定値より損失が見られた品種もあり,加熱による影響が示唆された。栄養成分の保持を可能にする加工方法としてCSOの有用性を明らかにできた。
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