抄録
市販容器入り豆腐の衛生状態を判定することを目的として郡山市内で購入した30検体の豆腐の漬水について一般生菌数,大腸菌群,腸球菌,pHおよび有機酸の調査を行ない,以下の知見を得た.
1.一般生菌数は.1.0×103~1.0×104/mlの検体が8検体で最も多かった.しかし,1.0×107/ml以上のものが2検体みられ,衛生的に不良なものと判断された.
2.大腸菌群は30/ml以下の検体が12検体,腸球菌は21検体あり,大腸菌群による汚染の方が高率であった.
3.購入直後のpHは平均5.98であり,5.00以下の検体が2検体,6.51以上の検体が8検体みられた.
4.分離した大腸菌群の菌型はK.aerogenes I型が最も多く25.6%,次いでC.freundii I型の23.4%でありE.coli型は1.6%と少なかった.
5.一般生菌数と大腸菌群および一般生菌数とpHとの間には有意な相関が認められ,相関係数はそれぞれO.68,-0 .71であった.
6.豆腐の漬水から検出された有機酸はグルタミン酸,乳酸,酢酸,ピルビン酸,リンゴ酸,クエン酸,コハク酸およびギ酸であった.購入直後におけるこれら有機酸量は,9検体の平均でそれぞれO.16mg/ml,0.20mg/ml,O.03mg/ml,0.01mg/ml,O.07mg/ml,1.OOmg/ml,0.01mg/mlおよび0.01m9/mlであった.
7.10℃ 保存により乳酸および酢酸量の増加が著しく,他の有機酸の変動は少なかった.