品種の異なる秋期ホウレンソウを露地,雨よけ,ハウスで異なる期間栽培し,有機酸や糖含量の変動および茹で調理による影響そして食味を検討した。
ホウレンソウのシュウ酸含量は,いずれの栽培方法でも生育期間が長くなるにつれて低下した。硝酸含量はいずれの生育段階も露地栽培が他の方法に比べて低かった。茹で後のシュウ酸含量は生育期間が長くなるほど減少あるいは減少の傾向を示した。シュウ酸の茹で後の残存率はいずれも60%程度であった。糖含量は生育するにつれて飛躍的に高くなり,後期は前期の10倍以上の含有であった。茹で調理後の糖の残存率は70~80%が多数であった。糖含量は加熱後であっても,中期より後期が多いことが明らかになった。
官能評価の甘味は,中期ではアップライトの露地栽培が他の栽培方法や品種に対して有意に強かった。ハウスや露地栽培では,生育による糖含量の増加にともなって甘味感が増すことが明らかになった。