日本調理科学会誌
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フラクトオリゴ糖とマルチトールを配合した焼き菓子の性状・嗜好性と血糖値への影響
大喜多 祥子花崎 憲子倉賀野 妙子和田 淑子
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2008 年 41 巻 2 号 p. 93-102

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抄録

本研究は,ビスケットにおいて,フラクトオリゴ糖とマルチトールがグルテンに及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。また,嗜好性に優れたビスケットを調製するための両者の配合比,および血糖値への影響を検討した。マルチトールは小麦粉ドウの抗張力を大きくし,湿グルテンの最大圧縮エネルギーを大きくすることから,かたい性質のグルテンを形成すると考えられた。一方,フラクトオリゴ糖は,軟らかい性質のグルテンを形成すると考えられた。両甘味料がグルテンのかたさに及ぼす影響は,ビスケットの生地のかたさ,焼成したビスケットのスプレッドおよび破断物性値に反映された。ビスケットの嗜好性に対し,マルチトールは甘味の付与に不可欠であり,フラクトオリゴ糖は焼き色の生成と軟らかく砕けやすい食感の発現に寄与することが分かった。マルチトールとフラクトオリゴ糖を2:1に配合したビスケットは,砂糖ビスケットと比べ嗜好性の面で遜色がなく,摂取後の血糖値上昇も抑制された。

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© 一般社団法人日本調理科学会
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