千葉県立保健医療大学紀要
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平成29年度学長裁量研究抄録
ホームページ上の大学情報発信を英語でも行う方法の開発
井上 裕光神田 みなみ植田 麻美
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2019 年 10 巻 1 号 p. 1_128

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抄録

(緒言)

 大学ホームページ(以下HPと略す)は大学の顔であり,従来からも英語圏向けの英文による本学紹介は行われてきた.しかし,これまでは日本語原稿の直訳をそのまま載せているようなものであり,英語圏HPの大学紹介とはかけ離れたものだった.

 本研究の目的は,大学情報発信の一環として,英語圏への情報発信を整備することにあった.そのために,単なる外注や英語教員による下訳+英文校正という方法ではなく,大学としての基本情報の英語での発信を行い続ける方法を開発し,その発信情報のフィードバックを受けることまでを目指した.

(研究方法)

 情報発信の範囲選択 「ネットワーク委員会でのHP更改作業の中に,英語版HPを盛り込むことを依頼」した上で,「HP構造の中で,本年・来年英語での情報発信を必要とする箇所」の選択を開始した(井上・神田・植田).

 情報収集の方法 年度当初は切り替え予定の大学ホームページ全体に英語ページを作成することを予検討したが,順天堂大学,東京医科歯科大学に倣い英語HPがひとまとめに構成されていると利便性が高いとの結論に達した.その際,オックスフォード大学,ケンブリッジ大学,ハーバード大学など世界的な有名な大学のHPのトップはイメージを打ち出し,視覚的な魅力を追及しており,本学では参考にならないことが確認された.

 検討プロセス 研究協力者(平成国際大学法学部Zidonis准教授,自治医科大学医学部Dilenschneider講師)を得て,現在の大学パンフレットを確認し,「学長挨拶」が大学紹介,「学部長挨拶」が学部カリキュラム紹介とすることが適切で,英文での大学紹介のために重要と指摘された.

 作業プロセス 従来の英語HPは,日本語版をそのまま英訳する方式が多い.しかし,それでは,全文を英語としない以上,魅力的な情報発信としては不備があることが分かった.

 そこで,1)神田によりミシガン大学HP学長挨拶を参考に英語一部下訳,2)植田による英語チェックを経て,3)研究協力者2名によるネイティブチェック,英文の加筆修正,4)大学ホームページにふさわしい格調高い英文への推敲,5)フォーマットの追加等を行い,6)具体的な英文HPの作成に入った.

(結果)

 3月20日に大学ホームページが切り替えとなり,完成した英語ページが公開された.具体的には,Getting There(アクセス),Message from the President(大学の沿革,設立目的等の学長挨拶,学長紹介), Educational Principles and Goals(教育目的,ディプロマポリシー),Undergraduate Faculty and Departments (学科・専攻ごとの定員, 卒業資格, 進路等), Curriculum and the Message from the Dean(カリキュラム,学部長挨拶,千葉県の保健医療状況)についての英語による情報発信となっている.

(考察)

 今回の方法開発で,以下のことが判明した.

1) 英文HPを単なる部分的な日本語英語訳ページにしてはいけない.英語圏への情報発信の一部として,魅力を発信すべきものにする必要がある.

2)そのためには,英文HP単独でも十分な情報提供を行う必要があり,さらに,単なる無機質な英文ではなく,高等教育機関としての魅力を伝えるような英文(海外のHPでは,学長の肉声に近いような,個性や人柄までが伝わる文章が一般的である)を用意しなければならない.

3) 従って,単なる日本語HPの部分訳ではなく,英文としてもレトリカルな(格調高い)文章が望ましい.

4) そのための作業手順として,単なる英文校正ではなく,文章の意訳を含めた再構成も必要で,従来の日本語の英文下訳+校正とは異なるアプローチが必要になる.

 今後,本学に関する情報が英語で発信されることにより,海外の大学との研究交流など国際化が進むことが期待される.

(本研究は倫理審査に該当せず,倫理審査の申請はおこなっていない)

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