千葉県立保健医療大学紀要
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令和4年度学長裁量研究抄録
妊婦の腰痛・骨盤痛改善を目的としたオンラインによるヨガプログラムの効果
―ヨガプログラム教材の評価と改善―
増田 恵美片岡 弥恵子
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2024 年 15 巻 1 号 p. 1_63

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抄録

(緒言)

 妊娠中の女性が自覚する腰痛や骨盤痛等の不快症状はマイナートラブルと呼ばれる.腰痛や骨盤痛による苦痛は日常生活に支障をきたし,妊婦のQOLに影響を及ぼすことが報告されており,その対処法として運動プログラムやヨガ等が推奨されている.しかし,COVID-19感染拡大防止により運動の実施は,難しい状況にある.そこで,妊婦が取り入れやすく自宅等にて短時間で行えるヨガに着目した.

 妊婦の腰痛・骨盤痛改善を目的としたオンラインによるヨガプログラムの効果を検討するために,今後,Pilotランダム化比較試験を計画している.そこで,ヨガに関する書籍や既存研究等を基盤に,ヨガプログラムを考案し,マタニティヨガインストラクターからの意見を取り入れ,ヨガプログラムの動画とリーフレットを作成した.オンラインを活用し,考案したヨガプログラム教材を用いて,腰痛や骨盤痛のある妊婦4名を対象に,第1段階としてFeasibility studyを行った1)

 本研究は,第2段階として,考案したヨガプログラム教材について,Feasibility studyで行った質問票の情報や,オンラインセッションでの意見交換から評価を行い,ヨガプログラム教材の改善を図ることを目的とする.

(研究方法)

 考案したヨガプログラムのFeasibility studyに参加した4名の質問票の結果とオンラインセッションでの意見交換から,先行研究2)を参考に,使用教材についての受容性に関する評価を行った.

1.Feasibility studyの結果から得られた教材の評価

 質問票から得られた受容性の4項目を,4段階で評価した.また,オンラインセッションでの意見交換から得られた回答について評価を行った.

2.教材の評価結果からの修正

 ヨガプログラム教材の評価結果をもとに,動画とリーフレットの修正を行った.

(結果)

1.Feasibility studyの結果から得られた教材の評価

 「リーフレットの分かりやすさ」は,4名が「大変そう思う」,「そう思う」と回答していた.「動画は分かりやすさ」は,4名中3名が「そう思う」と回答していた.使用教材についての複数の意見が述べられた.リーフレットは「ヨガのポーズごとに色分けや線が引かれている分かりやすい」との意見であった.また,動画は,ヨガのポーズで繰り返し行うポーズが,繰り返した動画ではなかったため「繰り返すポーズで再生されていたら,ヨガがやりやすかった」との意見があった.「動画は役に立ったか」は,1名が「あまりそう思わない」と回答していた.

 考案した動画とリーフレット教材についての評価は概ね高かった.しかし,リーフレットは,線を引きポーズを区分することや,背景の色付けし,見やすくする工夫していく必要がある.また,動画は,各ポーズの方法について説明を加えた動画で,対象者が飽きないように再生時間を短く構成したが,意見交換から,繰り返し行うポーズは動画編集を行い,改善していく必要がある.

2.教材の評価結果からの修正

 ヨガプログラム教材改訂版の作成にあたって,得られた結果から,映像編集に特化した専門家に依頼して動画編集を行った.リーフレットは,有識者の協力を得て,効果的で実用性の高い教材に仕上げた.

(考察)

 今後の生活様式において,在宅で自己管理できるヨガプログラム教材を用いてオンラインを活用する新しい方法で,より効果的な教材の存在が必要であると考える.そのため,ヨガプログラム教材の改善を図ったことは,即時に活用が期待できる有用性の高いヨガプログラムとなりうる.今後,教材改訂版を活用してヨガプログラムの効果の検討していきたい.

(本研究は,倫理審査に該当せず,倫理審査の申請は行っていない)

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