千葉県立保健医療大学紀要
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令和4年度学長裁量研究抄録
介護予防のための生活習慣継続をめざした多職種連携プログラム(新・ほい大健康プログラム)の評価
大川 由一細山田 康恵鈴鹿 祐子大内 美穂子室井 大佑松尾 真輔佐久間 貴士細谷 紀子佐伯 恭子成 玉恵栗田 和紀松浦 めぐみ松尾 真輔峰村 貴央酒巻 裕之岡村 太郎成田 悠哉江戸 優裕
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2024 年 15 巻 1 号 p. 1_62

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抄録

(緒言)

 高齢化進む千葉県において,「介護予防活動普及展開事業」の取組の推進が重要な課題となっている.本学では多職種連携による地域貢献のための教育研究成果を地域に還元するために「ほい大健康プログラム」を行ってきた.本研究の目的は,介護予防を目指した新たな「ほい大健康プログラム」を地域住民に実践し,介護予防のための生活習慣の獲得に向けた効果を検証することである.

(研究方法)

 対象は千葉市内UR真砂第一団地において「ほい大健康プログラム」の案内チラシを見て自発的にプログラムへの参加を申し出て,かつ研究協力に同意した者とした. 看護学科,栄養学科,歯科衛生学科,リハビリテーション学科の各プログラムは,2022年10月1日(第1回),10月29日(第2回),11月26日(第3回)に実施した.参加者数は,第1回11名(男性3名,女性8名),第2回10名(男性2名,女性8名),第3回12名(男性2名,女性10名)であった.

 第1回は「いきいきと暮らせるためのからだづくり」に向け,体組成測定やフレイル度のチェックを通じ,自分のからだを知ることを目標とした活動を実施した(看護プログラム).さらに運動器の元気度チェック(ロコモ度チェック)と脳と身体の同時エクササイズ(コグニサイズ)を行った(理学プログラム).

 第2回は「オーラルフレイル」の予防や改善をはかるため,口腔機能の測定とお口の体操を実践した(歯科プログラム).また,「バランスの良い食事」をとるために,食事カードを用いての食事チェックなどを実施した(栄養プログラム).

 第3回は「日々の生活から考える介護予防」を目指し,近隣の地図を用いて散歩コース等の情報共有のためグループワークを実施した(作業プログラム).最後に第1回後から記録している「健康がんばりカレンダー」を基に,参加者の取組によるからだの変化について意見交換を行った(看護プログラム).プログラム終了後に本プロムラムに関して質問紙法によるアンケート調査を実施した.

(結果)

 アンケート調査結果によると,第1回から第3回までの全プログラムの満足度については,参加者の多数が「満足」と回答し,「やや満足」を加えると満足度100%であった.プログラムの内容については,多くの参加者が「理解できた」と回答した.全プログラム終了後の自身の変化について複数回答で質問したところ,「知識が増えた(67%)」「やる気がでた(50%)」「自信がついた(42%)」「物事に前向きなった(42%)」「体調がよくなった(17%)」,「体の動きがよくなった(17%)」等の結果が得られた.「プログラムの内容を自身の生活のなかで活かせるか」との質問に対しては,「そう思う(83%)」「少しそう思う(14%)」との回答であった.「プログラムで学んだことを,まわりの人たちに広めていきたいと思うか」との質問には,58%が「そう思う」,42%が「少しそう思う」と回答していた.「次も『ほい大プログラム』に参加したいと思うか」との質問については,92%が「そう思う」と回答していた.すべての参加者は,「ほい大プログラム」をまわりの人たちに広めていきたいと回答していた.

(考察)

 「介護予防」に焦点化した「ほい大健康プログラム」の実施により,地域住民の生活習慣の改善のみならず健康に関する意識の向上,住民同士のネットワーク構築といった効果あることが確認された.

(倫理規定)

 本研究は,千葉県立保健医療大学研究倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号2021-07).

(利益相反)

 本研究における開示すべきCOI関係にある企業等はない.

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