2025 年 16 巻 1 号 p. 1_77-1_85
本研究の目的は,地域の健康課題を明確化する力の強化と自己の成長・課題がわかることを意図して改変した中堅前期保健師研修会(以下本研修)の効果検証である.
令和4年度本研修受講者のうち研究協力に同意を得た者を対象とした.終了後アンケートの自由記述を質的に分析し,保健師の総合的キャリア発達尺度(第2版)の研修前後の評価結果について平均値の差の検定を行った.
研究参加者は37名であり,事業提案は「概ね」を含め78.4%ができたと回答した.自由記述から【根拠を客観的に提示・説明する能力向上への意欲】【中堅保健師としての意欲の高まり】等を確認した.尺度の評価結果は,合計点,政策及び組織管理と地域保健活動の小計点,26項目中9項目に5%水準で有意差を確認した.
本研修は,根拠に基づき健康課題を分析し事業を提案する力の獲得と保健師としての成長・アイデンティティの確立において一定の効果があると示唆された.