2016 年 7 巻 1 号 p. 1_29-1_35
本研究は,スケーリング実習における学生の疲労感を新版「自覚症しらべ」,「疲労部位しらべ」,フリッカー値から評価し,スケーリング手技に関するチェックシートとの検討によって問題点を抽出し,教育方法の改善を図ることを目的とした.対象は歯科衛生士学生23名であり,調査は全9回の実習中,3・6・9回目の実習前後に行った.その結果,5群に分類した自覚症しらべでは,Ⅱ群不安定感が実習後に低下し,実習後に6回目Ⅴ群ぼやけ感,3・9回目Ⅳ群だるさ感が増加した.疲労部位では,実習後に上肢部,特に右側の部位の疲労が増加した.フリッカー値は,3回ともに黄色が実習後に低下した.以上の結果から,スケーリング実習では精神的疲労は実習後に軽減し,眼の疲労や上肢部特に右側の身体的疲労が増加することが分かった.また,チェックシートから適切な姿勢ができていない学生もおり,疲労を増加させる要因となっている可能性も確認できた.