日本門脈圧亢進症学会雑誌
Online ISSN : 2186-6376
Print ISSN : 1344-8447
ISSN-L : 1344-8447
症例報告
断酒継続中にF1CwRC0を保ちながら出血再発したアルコール性肝硬変の1例
小畑 達郎竹本 隆博竹田 彬一
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 17 巻 2 号 p. 103-108

詳細
抄録

症例は50代男性.2007年8月,初回食道静脈瘤破裂で当院入院.緊急内視鏡ではLiF1CbRC1だったがT-Bil.=20.4mg/dL,PT=34%など肝予備能不良のため,出血点1箇所にO-ringを掛けただけで経過をみた.3カ月後退院.3~6カ月ごとに内視鏡で経過観察し,初回入院後2年1カ月までF1CwRC0以下で経過した.また,当院退院後に精神科受診し,2007年9月以後断酒していた.2010年4月,前日より黒色便を認め,当日鮮血色の吐血を認めて救急搬送された.緊急内視鏡では胃・十二指腸に出血源を認めず,0時方向の静脈瘤下端近くに白色栓を見出し,食道静脈瘤の再出血と診断した.直ちに出血点を含めて14箇所にO-ringを掛けて止血し,翌週EISを追加し,APC地固めを加えて経過観察中である.たとえ内視鏡所見がF1CwRC0にとどまろうとも,肝予備能が許せば静脈瘤を消失させて地固め療法を加えるべきと考えられる.

著者関連情報
© 2011 日本門脈圧亢進症学会
前の記事 次の記事
feedback
Top