抄録
目的:関節リウマチ(RA)患者の約14-42%は抑うつ傾向があり,一方エタネルセプト(ETN)はRA対する有効性が高く,抑うつ状態が改善すると推定される.その機序について血清TNF-α,IL-6,dehydroepiandrosterone-sulfate(DHEA-S)の測定も含めて検討した.
対象・方法:ETN治療を開始したRA患者16例に対し,治療開始前,治療開始14,30週後にSelf-rating Depression Scale(SDS)とともにDAS28(ESR4),mHAQ,血清TNF-α,IL-6,DHEA-Sの測定を同時に施行した.治療前後のSDS,mHAQ,血清TNF-α,IL-6,DHEA-SをDAS28(ESR4)を用いたEULAR改善基準の改善度別に評価した.
結果:EULAR改善基準で中等度以上の改善群では,治療後のSDS,mHAQ,IL-6,DHEA-Sはそれぞれ有意にに低下した.無反応群では,治療後のSDS,mHAQ,IL-6,DHEA-Sに有意な改善は見られなかった.両群とも血清TNF-αに有意な改善は認めららなかった.
結論:ETN治療有効例では,血清IL-6,DHEA-Sの改善を介してRA患者の抑うつ状態が改善する可能性が考えられた.