2011 年 23 巻 2 号 p. 102-112
目的:大阪北河内地区において“関節リウマチに対する生物学的製剤導入に関する地域連携パス”を稼働している当院において生物学的製剤の導入を行った関節リウマチ症例での各製剤の継続率,および中止・変更の理由などを解析し,連携パス稼働下での特性を把握することを目的として,後方視的調査研究を行った.
対象・方法:対象は当院開院(2006年1月)から2010年12月末までの5年間に関節リウマチと診断され,当科単独あるいは地域連携パスによる連携症例としてIFX,ETN,TCZおよびADAの生物学的製剤の導入を新規に行った症例,延べ306例を解析した.
結果:導入時の年齢は,有意差は無いもののETNおよびADAの皮下注射製剤でやや高い傾向があり,連携症例では皮下注射製剤の選択が多かった.2008年に上市されたTCZおよびADAは第二選択となっている場合が多かった.第一選択の症例のみを観察した場合,4製剤の継続率はほぼ同じであった.IFXでは増量が25.1%で行われ,増量症例の継続率が高かった.ETNおよびADAでは投与期間延長による実質的な減量が73.1%,25.0%と高率に行われたが,これらの症例の継続率が高かった.
結論:調査結果から,高齢・若年および連携・非連携などの患者特有の事情に対し,投与量の増減などで,治療強化や継続率の上昇をめざした対応が行われていると考えられた.