臨床リウマチ
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原著
関節リウマチ治療下の間質性肺陰影出現時対応:ニューモシスチス肺炎(PCP)を想定して
中村 正東 修一工藤 博徳友田 邦彦束野 通志森 俊輔中村 彰宏
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2011 年 23 巻 2 号 p. 113-118

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抄録
   関節リウマチ(RA)治療下の67歳,女性例において,新たな間質性肺病変の出現に際しPneumocystis jiroveci pneumonia(PCP)を想定した早期のステロイドパルス療法・sulfamethoxazole+trimethoprim(ST)合剤を含む加療で臨床的軽快を得た.RA治療下のPCPの特徴として,1)高齢者に発症する,2)リンパ球数が正常でも発症する,3)ヒト腫瘍壊死因子阻害剤の市販後全例調査においてPCPの報告が海外に比べ明らかに高頻度で,使用後早期に発症する,4)診断の遅れで重篤化し予後不良である,5)ステロイドパルス療法とST合剤を含む加療で治癒する,6)ST合剤による予防投与が考慮される,などが挙げられる.PCPは疫学上,抗体検査では殆ど不顕性感染を受けており,AIDSなどの細胞性免疫不全者に発症しやすく,空気感染すると考えられており,ST合剤の予防投与は重要である.RA経過中の間質性肺病変の病態は複雑で,診断の遅れで予後不良となるPCPを予測した早期の対応が実臨床では望まれる.
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© 2011 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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