抄録
目的:関節リウマチの顎関節炎による開口障害は頻度の高い症状であるが,局所治療法は少ない.そこで,パワードプラ法を用いて浅側頭動脈とそれに伴走する静脈ならびに耳介側頭神経を確認した後に,超音波診断装置(以下,エコー)でモニタリングしながら,顎関節内にステロイドを注射する試み,その効果を評価した.
対象・方法:14例の顎関節痛による開口障害を訴えるRA患者を無作為に顎関節内注射群(8例)と塗り薬群(6例)に分類した.観察期間は4週間とし,治療前後での開口距離の変化を各群で比較した.
結果:治療前に対する治療後の開口距離の変化は,顎関節内注射群で10.4±2.7mm であり,対応あるt検定で有意な改善があった(P<0.0001).塗り薬群の開口距離の変化は-0.17±0.75mmであり,有意な改善はなかった(P=0.61).
結論:パワードプラ・エコー法は顎関節内注射に有用なモニタリングである.