目的:関節リウマチ(RA)患者の抑うつに関して,身体機能障害度および心理特性に疾患活動性の要因を加え検討した.
対象・方法:2009年1月から3月,北里大学病院膠原病・感染内科に受診したRA患者のうち,研究参加に同意した113名に,基本属性,Negative Emotional Suppression Scale(NESS),mHAQ,およびBeck Depression Inventory-second Edition(BDI-II)の質問紙の記入を依頼した.疾患活動性はDAS28-CRPを用い評価した.返信のあった87名を分析対象とし解析した.
結果:RA患者87名(年齢60.7±11.7歳)のDAS28-CRPは平均3.05±1.20であった.BDI-Ⅱと基本属性,NESS(怒り抑制,抑うつ抑制,不安抑制,および否定的感情抑制),mHAQ,およびDAS28-CRPとの間で相関分析を行った.BDI-Ⅱと“性別,mHAQ,およびDAS28-CRP”との間で正の相関が認められ(
r≧0.243,
p<0.05),BDI-Ⅱと不安抑制との相関は有意傾向にあった(
r=0.201,
p<0.1).
結論:身体機能の維持やRA症状のコントロールがうまくいかないことが抑うつに関わっていることが示唆された.さらに,不安などの否定的感情を抑制しやすい患者や女性患者は抑うつをより抱きやすい傾向にあることがわかった.
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