抄録
関節リウマチ(RA)の治療目標は“臨床的寛解”とされているが,その臨床的寛解の新しい定義が,ACRとEULAR合同で先ごろ発表された.では,なぜ寛解の定義を明確にする必要があったか.近年,生物学的製剤の登場で寛解率が上昇しているとされ,また,様々な疾患活動性指標による寛解の定義が存在し,寛解率を比較できず統一基準がないことが大きな問題となっていた.臨床的寛解に加え,関節破壊の進行が止まることを意味する構造的寛解,身体機能の維持を意味する機能的寛解の3つが存在し,すべてが寛解に達した場合を“完全寛解”や“真の寛解”と呼ばれているが,新寛解基準は,構造的寛解,機能的寛解にいたるための,臨床的寛解基準と考えられる.この寛解基準で問題となるのは,patient global assessments(PtGA)である.Boolean型基準では,PtGA≦1が基準となっており,この項目が存在するため,足関節や足趾関節を除く28関節の評価で良いとしている.しかしながら,PtGAには関節炎由来以外の要素が含まれるため,正確な評価がしにくいため,28関節の評価で良いか疑問が残る.さらには,画像所見がこの寛解基準には含まれていないなど多くの問題点が存在する.本総説では,これら新寛解基準の意図するものと問題点について概説する.