臨床リウマチ
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原著
関節リウマチにおけるアバタセプトによる関節破壊抑制効果 ―52週継続例の検討―
望月 猛矢野 紘一郎猪狩 勝則廣島 亮白旗 敏克桃原 茂樹
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2013 年 25 巻 2 号 p. 107-112

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抄録
目的:関節リウマチ(RA)におけるアバタセプトの構造的有効性を検討した.
対象・方法:アバタセプトを使用開始後52週以上経過した41例を対象とした.男性4例,女性37例,新規導入例は27例,平均年齢64.4歳,平均罹病期間は9.7年であった.CRP,ESR,MMP-3,DAS28-CRP,DAS28-ESR,SDAIを投与開始時,2週,4週,以下4週ごとに52週まで計測した.投与開始時と52週時点のvan der Heijde modified total sharp score(mTSS)を用いて年間進行度(ΔmTSS)を評価した.進行に関連する因子を検討した.
結果:投与前/52週時の各値を示す.CRP:2.04/0.45,ESR:43.8/24.3,MMP-3:194.4/74.7,DAS28-CRP:4.05/2.44,DAS28-ESR:4.69/3.08,SDAI:22.8/7.5,ΔmTSS:8.59/0.63であった.寛解率はDAS28-CRP:43.9%,DAS-28ESR:39.0%,SDAI:26.8%であった.構造的寛解例は非寛解例に比して52週までのCRP値総和,MMP-3値総和が有意に低値であった.関節破壊進行因子はRF陰性,MTX非投与,Switch症例であった.
結論:RAにおけるアバタセプト治療により各要素の改善を認め,関節破壊の進行は抑制されていた.関節破壊進行因子,構造的寛解に関与する因子が抽出され,とくに経過観察時にはCRP値とMMP-3値の推移を指標とすることが有効と考えられた.
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© 2013 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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