抄録
関節リウマチ(RA)の関節病変の病態にリポキシゲナーゼ系の関与が報告され,多くの動物実験結果からも治療標的として着目されてきた.しかし実際のRA関節病変においてLTB4産生による急性炎症病態とLXA4産生による抑制病態同時に存在する.臨床治験において投与された産生酵素阻害薬やLTB4受容体拮抗薬の効果は不十分であり今日まで臨床適用されたものは無い.しかし近年ロイコトリエン(LT)の新たな役割として抗炎症作用による生体の恒常性維持や抗酸菌感染防御機構にLTB4/LXA4のバランスが関与していることが報告されておりRAとリポキシゲナーゼの臨床応用について新たな展開が期待される.