臨床リウマチ
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総説
関節リウマチと保険診療
生野 英祐
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2015 年 27 巻 1 号 p. 7-13

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抄録
   近年,急速な高齢化の進展や高額な先端医療の増加によって医療費が増大し,世界的に社会保険制度の見直しや改革が求められている.関節リウマチ(RA)の診療においても,治療の進歩と保険制度の改革によって大きな変化が生じている.
   2011年に本邦でもメトトレキサート(MTX)の最大投与量が引き上げられ,より戦略的な治療が可能となった.これまで治療が困難であった高疾患活動性の患者でも,MTXの増量や生物学的製剤の併用で長期的な予後を改善することが期待できるようになった.一方で,高用量のMTXや生物学的製剤の使用は,医療費増大の一因となっている.
   2014年度の診療報酬改訂では,RA診療においても4つの大きな変化があった.身体障害者福祉法による診断書作成時の指数,生物学的製剤の在宅自己注射指導管理料,リハビリテーション加算が変更され,後発医薬品の使用率目標が引き上げられた.今後も医療費の最適化を目指し,様々な改訂が続くことが予想される.RA診療に当たる医師は,社会保険制度について十分な知識を持ち,改訂内容を熟知しておくことが望まれる.また,個々の臨床医が可能な限り医療費を削減し,限りある医療財源を守ることは,今後も社会保障制度を継続する上で必要不可欠である.
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© 2015 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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