2017 年 29 巻 4 号 p. 292-299
非結核性抗酸菌(以下NTM)は結核菌以外の抗酸菌の総称で,ヒトからヒトへの伝染性はなく環境の常在菌で受攻性のある個体に感染する病原体である.結核治療に反応するM. kansasii等と特異的治療が必要なMAC (Mycobacterium avium-complex)等,有効な治療のないM. abscessus等がありMAC症が約9割を占める.主な感染部位は肺で,主要な病型は軽症の結節・気管支拡張型(NB型)と重症の線維空洞型(FC型)である.診断はCT画像の所見と,複数回の菌の検出(感染部位の特殊検体の場合は1回で可)が揃って初めて可能になる.RAでは細気管支病変があり鑑別が困難である.RAでNTM症の発生は一般人の約2倍,TNF阻害薬を使えば,その5倍感染し易くなるとのデータがある.NTM症合併RAでは,TNF阻害薬を始めとするb-DMARDsは禁忌となっている.しかし,日本呼吸器学会が2014年に出した手引きではMAC症でNB型であればTNF阻害薬による治療もケースにより認めうるという見解を示し,状況によるb-DMARDs使用の道が開かれたが,治療絶対不応のM. absessus症やFC型のMAC症では抗リウマチ治療を控え不十分な病勢コントロールで妥協すべきと考える.またNTM症そのものの治療は高度に専門性を要求するため,熟達した呼吸器内科医に委ねるべきと考える.