2018 年 30 巻 2 号 p. 114-119
目的:秋田整形外科リウマチグループ(Akita Orthopedic group on Rheumatoid Arthritis: AORA)レジストリーにおける,関節リウマチ(rheumatoid arthritis, RA)に対するトシリズマブ(tocilizumab, TCZ)治療の効果不十分による脱落症例を調査し,本薬剤の有用な使用の可能性を検討する.対象・方法:TCZ使用累積症例177例,ナイーブ群(N群)95例,スイッチ群(S群)82例を対象とした.患者背景,脱落までの使用期間,脱落後の治療,疾患活動性を後ろ向きに調査した.結果:効果不十分による脱落症例は12例(7%)であった.平均58歳(44~82歳)で,罹病期間は平均120ヵ月(6~366ヵ月)であった.N群が4例,S群が8例で,全てTNF (tumor necrosis factor)阻害薬からのスイッチであった.TCZ使用開始から脱落までの期間は平均30ヵ月(6~67ヵ月)であった.脱落後に他の生物学的製剤にスイッチした症例は10例で,TNF阻害薬が2例,abatacept(ABT)が8例であった.最終調査時,S群かつABTにスイッチした3例がさらにTNF阻害薬にスイッチした.CDAIは,使用開始時が平均±標準偏差20.3±13.4で,脱落時は12.4±8.1であり,6例は低疾患活動性を達成した.最終調査時は9.5±8.4で,8例は低疾患活動性を達成した.結論:効果不十分による脱落症例は,TNF阻害薬からのスイッチ症例が多かった.脱落後のスイッチは,TNF阻害薬,ABTともに有用であった.総合的な効果不十分の判断により,TCZの有用な使用継続の可能性がある.