臨床リウマチ
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原著
関節リウマチ患者に対しSARAHを用いた手指機能訓練が手指機能と関節滑膜血流に与える影響
高松 尚徳佐藤 潤一成田 明宏谷村 一秀小池 隆夫
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2020 年 32 巻 2 号 p. 161-168

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抄録

【目的】RA患者に手指機能訓練を行い手指機能と関節滑膜炎に与える影響について検討した.

【対象・方法】2018年1月1日から2019年5月31日までに当院にリハビリテーション目的で入院したRA患者17例を対象とした.手指機能訓練は2015年にLambらによって開発されたSARAHを用いた.SARAHは4週間毎日行った.機能評価は,握力,ピンチ力,手の疼痛VAS,Quick DASHを行い,RAの疾患活動性と機能障害の評価は関節超音波,DAS28,HAQを行った.RA患者17名に対し,SARAH介入前後での手指機能及びRAの疾患活動性と機能障害について検討した.

【結果】対象者の年齢は71歳(54-83),罹患期間は10年(1-60)だった.関節内滑膜血流陽性群8名と関節内滑膜血流陰性群9名について検討した.機能評価では,陽性群において4週後に握力・ピンチ力・VASの統計学的有意な改善を認めたが,陰性群では全ての項目で改善は見られなかった.滑膜血流陽性群の関節内滑膜血流は4週後に統計学的有意な改善を示した.また,関節滑膜血流陰性群も介入後に関節滑膜炎の新たな出現は認めなかった.全ての群でDAS28,HAQは4週後に統計学的有意な改善は見られなかったが介入期間中RA症状には大きな変化は認めなかった.

【結論】今回の検討は短期間・少数症例での検討ではあったが,手指機能の向上を認めた.よってSARAHを用いたRA患者の手指リハビリテーションは,滑膜炎の悪化を伴うことなく機能強化ができる有効な手指機能訓練であることが示唆された.

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© 2020 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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