2021 年 33 巻 3 号 p. 198-206
目的:サリルマブは関節リウマチに対して2剤目の抗IL-6受容体抗体製剤であるが,実臨床での使用経験についての報告は少ない.今回,日常臨床下で導入されたサリルマブの有用性および安全性について報告する.
対象:2018年2月から2019年9月までにサリルマブを導入した患者における24週までのclinical disease activity index(CDAI)を用いた治療効果および安全性について後方視的に検討した.また,背景因子で群間比較を行い有効性の差を検討した.
結果:35例でサリルマブが開始され,開始時の平均年齢は60.3±17.5歳,罹病期間は12.5±9.3年,CDAI 26.2±10.8,メトトレキサート(MTX)併用率は62.9%であった.6例が生物学的製剤およびJanus kinase阻害薬未投与例で,29例は使用歴があった.CDAIは2週時点より17.2と有意差を持って低下し,24週時には10.9±9.2まで低下を認めた.トシリズマブ(TCZ)からの切り替えの有無,MTX併用の有無で有効性を比較したが,TCZ切り替えの有無およびMTXの併用の有無で有効性に差は見られなかった.また,body mass indexによって有効性に差は認めなかった.有害事象は7例であり感染症が最多で7例全例に認めた.また,投与中止例は9例で,効果不十分例が7例であった.
結論:サリルマブの投与24週までの経過において,開始2週後より疾患活動性の低下を有意に認め,同じIL-6阻害薬からの切り替えや肥満群においても同等の疾患活動性の改善を認めた.また,有害事象での中止は少数であった.サリルマブは日常診療下においても有用であることが示された.